中絶について、考えてみよう
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ひとこと

中学校の頃だろうか、性行為と避妊などについての教育ビデオを見させられた記憶がある。ビデオの締めは「尊い命と大切な人を守ろう」だった気がする。そのころは、中絶すなわち悪いことだと思っていた。十三歳の私には、自分のお腹の中にいる赤ちゃんを自ら殺すというのはショックが大きかったのだ。それから何年も過ぎた今、中絶はしない方がいいという考えは変わらない。しかし、悪だと言い切るのもどうかと考えるようになった。胎児が可哀想だというのはもちろんだが、母体にも負担が大きすぎる。肉体的にも精神的にも、避けたほうがいいに決まっている。しかし、望まない妊娠が起こってしまうのはどうしたってあるだろう。そのような事態に陥った人に、赤ちゃんが可哀想だ、貴女にも苦しいから、自業自得だと言って中絶の道を断ってしまったらどうなるか。確かに命は守っただろうが、その後その人たちはどうなるのか。想定外の子供を、幸せに育てきることができるのか。善悪だけではっきりさせることはきっと不可能だ。私が述べたことだって、机上の空論でしかない。「尊い命と大切な人を守ろう」さらりと流れたビデオの最後のテロップは、実はとても難しい問題を提示していた。

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